歌に姿勢が大切な理由・イラスト・解説・やり方

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こんにちは。シンガーソングライターのふわはるなです。

ボイストレーニング(ボイトレ)に通っていると、「悪い姿勢」を注意される事が多いです。

ボイトレの効果を最大限に活かすには、「姿勢の大切さ」を意識する必要があります。

せっかく歌の技術を学んでも、姿勢に邪魔されてしまうと、もったいないですよね。

この記事では、歌う為の正しい姿勢について、述べていきますね。

姿勢が大切な理由

どんなスポーツにも、正しい姿勢があります。それは、生理学的に最も効率のいい体の状態です。

歌はスポーツと同じく、全身の筋肉を使います。ボーカルにとっては、体が「楽器」です。

姿勢が悪いと、余計な筋肉が緊張します。

それが結果的に、声帯の動きを邪魔したり、肺活量を抑制したりします。

上手く歌う為には、正しいフォームを身につける事が大切です。

人間にとって、「発声」は優先順位が低い!

発声の為の「正しい姿勢」は、「意識」して行わないと、「声帯」の自由が制限されてしまいます。

 

まず、声帯の入っている、喉仏がある所を「喉頭」(こうとう)といいます。

ボーカリストには残念な話ですが、「喉頭」からしてみれば、「発声」は優先順位が低いです。

 

「喉頭」が最優先させる事は、「圧力バルブ」としての機能です。

重いものを持ち上げたり、押したりする時の事を思い出してください。

どうでしょうか。「息の流れ」が止まっている事に気付くと思います。

あれは、喉頭が空気の圧力を調整する事で、身体の状態を硬直させています。

すると、テコになって、重い物を持ち上げる事ができるのです。

 

喉頭は筋肉の動きを監視し、「呼吸の抑制」が必要かどうかを見定めています。

あなたが歌っていても、お構いなしです。

 

その為、歌の邪魔をしないよう、「正しい姿勢」を「意識」して行う必要があります。

正しい姿勢を意識する為に

正しい姿勢は、体が重心に対して、バランスをとっています。

筋肉は適所で骨を支え、運動できるようにテコの働きをします。

 

また、もともと、その場所の仕事に適したデザインをしています。

その場所にあった、適切な筋肉を使う必要があります。

支える為に使われたり、運動の為に使われたり、場所によって仕事が違うからです。

 

例えば、足を伸ばしたまま、物を持ち上げようと、前かがみになってみましょう。

すると、背中の下部が、腹筋の代役をします。

しかし、背筋はこの仕事に適していません。

適していない仕事を筋肉にさせると、体を痛めやすいです。

※物を持ち上げるなら、足を曲げた姿勢がよいです。

 

つまり、骨格がバランスを崩すと、運動用にデザインされた筋肉が、姿勢を支える為に使われます。

 

他の筋肉が助けに入ると、余分な力が入り、緊張する。という事です。

すると、喉頭は肺から上がってくる空気を抑制します。ここでトラブルが始まります。

そうならない為に、適切な場所の筋肉を使ってあげましょう。

重力の線を意識する

下記の図を参照してみてください。

体の中心に線が引かれています。この線は重力です。

体重を等しく配分する為に、この重力の線を通す5つの「赤い点」を意識しましょう。

それは、「耳・肩・ひじ・ひざ・くるぶし」の5つです。

この5つが、一直線上に来るように立つ必要があります。

 

最終的に「重み」は、骨を伝って、一番下の「足の裏」に行かないといけません。

そうでなければ、重心が落ちません。

 

余計な筋肉で支えている間は、そこで重心が止まってしまいます。

姿勢が良くなり、体重が足にしっかり乗ると、重心が下に落ちます。

下半身で支える事で、上半身の力が抜けやすくなります。

体は内側に、「内旋(ないせん)」しやすい

上の図の、左側が正しい姿勢です。右側は猫背の姿勢です。

 

体は「内旋」しやすいです。例えば、「猫背」の人って多いですよね。

猫背になると、「二の腕」は内側に回転し、ゆるみやすくなります。

 

姿勢良く立つと、「耳の真下」に「肩」がきます。

胸が開きぎみになり、「二の腕」は、少し外側に回転します。

このように、体は少し外旋(がいせん)した方がいいです。

なぜなら、喉前のプレッシャーがなくなり、背中側も上半身の力が抜けます。

腰から肩から耳まで一直線であるべきです。

背骨について

背骨は、7個の頚椎(けいつい)、12個の胸椎(きょうつい)、5個の腰椎(ようつい)でできています。

頭・胸などの重さを、それぞれ近くの骨が、分担して支えられるようにS字形をしています。

背骨が本来のS字形に戻る事で、上半身に無駄な力が入らなくなり、音が抜けるようになります。

背骨のブロックを、一つ一つ重ねていく事が、体全体の筋肉の弛緩(しかん)に繋がります。

※弛緩(しかん)=ゆるむこと

 

余計な筋肉を使わずに済めば、体を拡張して多くの空気を取り込めます。

横隔膜を始めとする、歌にとって大事な筋肉の機能を、最大限に活かす事ができます。

歌う時の基本姿勢について

基本姿勢は、あくまで「力を抜いた状態」を覚える為に行います。

 

実際に歌う時は、色々なアクションをします。

ただ、直立しているだけでは、パフォーマンスができませんよね。

 

基本姿勢は、あくまで基礎練習の一環です。

その為、歌う時まで、基本姿勢でいる必要はありません。

しかし、力の抜き加減を理解している事で、その人の技術が試されます。

 

では、一般的な基本姿勢を書いていきますね。

両足を、「腰の幅」に開き、リラックスして立つ

両足を、「腰の幅」に開いて立ちます。

首、肩の力を抜き、精神的にもリラックスしてください。

 

ここで、「力を抜いて。」と言われた場合、一つ注意点があります。

それは、「力を抜くだけで良い。」と勘違いしてしまう可能性がある事です。

完全に力を抜いてしまうと、背筋がダラっとしてしまいます。

 

これでは肺が圧迫されてしまうので、よくありません。

その為、次に以下の事を行います。

 

頭の「つむじ」。

「つむじ」を、何かで吊り上げられているように、天井に向かって引っ張ってください。

すると背中が伸びます。胸の位置も若干張った状態になります。

重心は、ほぼ足の裏の中心に

ここで重心は、土踏まずの中央より、やや前方の位置に感じてください。

ほぼ、足の裏の中心です。

また、地面に対して、「骨盤」は平行に感じましょう。

 

ここでは、重心がかかとの方に移動しないように、注意しましょう。

人間は、足のかかとから指の爪先まで、足の裏全体で体重を支えています。

重心がかかとの方に移動してしまうと、骨盤も後ろに傾きます。

骨盤が「後傾」している。と言われるパターンです。

骨盤が後傾すると、上体を曲げる事でバランスを取ろうとします。

その為、首や肩を前に出す「猫背」になってしまいます。

そして、お腹を出してバランスを取ると、「ポッコリお腹」になります。↓

逆に、骨盤が「前傾」して、腰が反り気味になると、今度は「反り腰」になります。

肩を後ろに引きすぎたり、お尻を突き出してしまう形です。

こちらは、ふとももがはりやすく、腰痛の原因にもなります。↓

 

どちらも、かかとに重心がくると陥りやすいです。

重心は、土踏まずの中央より、やや前方の位置に感じるようにしましょう。

背筋を真っ直ぐに

背筋をまっすぐにしましょう。

左右どちらかに曲がっていると、肺が圧迫され、効率よく呼吸ができません。

胸を軽く起こす

胸が内側に入ってしまうと、猫背になり、肺が圧迫されてしまいます。

そうならないよう、胸を真上に軽く起こします。

45度斜め上に向かって、胸を起こすイメージが良いです。

 

胸を起こす時は、起こし過ぎないよう、注意が必要です。

起こし過ぎて、後ろに反り過ぎてしまうケースがあります。

後ろに反り過ぎると、反り腰になってしまいます。

これは、肩に力が入ってしまったりするので、良くありません。

あくまで無駄な力を抜いて、胸を少しだけ起こし気味にする気持ちでやってみましょう。

「骨盤」を真っ直ぐにします

次に「骨盤」です。これは少し難しいのですが、コツを掴めば簡単にできるようになります。

まず、壁にかかとをつけて、寄りかかって立ってみましょう。

ちょうど、ウェストの上ぐらいの所が壁から少し離れているはずです。

これは人間の背骨が、S字形に構成されている為です。

この部分を壁につけるようにすると、骨盤の下の部分が前方に少しだけ回転して、真っ直ぐになります。

できた所で、壁から離れてみましょう。

ちょっと下腹部に力が入った感じになり、どっしりと腰の上に上半身が乗った感じになるはずです。

 

これができない人のために、もう一つの方法。

肩の力を抜いて、重心を足の裏の中央に感じて立ちます。

この場合はまず、骨盤の真っ直ぐな感じを掴む事に集中したいので、猫背で構いません。

次に膝の力を抜いて、軽く曲げて、重心を落とします。

この時、骨盤が真っ直ぐになり、腰に上手く乗れるはずです。

最後にその腰の状態をキープしたまま、背筋を軽く伸ばし、膝を伸ばして立ちます。

この二つの方法で、ほとんどの人は骨盤が真っ直ぐになり、腰の上に上体がどっしりと乗っている状態がつかめるはずです。

顎(あご)は自然に引いた位置に来る

骨盤が真っ直ぐの状態で、背骨を積み上げ、体重がやや前方にかかると、

必然的に顎が引いた位置に来ます。

よく、「顎を引いて」と指導される事がありますが、実は「自分で引く」ものではありません。

骨格の積み上げが上手にできると、自然に引いた位置に来るようになっています。

正しい姿勢がしんどくて悩んだら

「リラックスして歌う事が難しい。」と悩むのは自然な事です。

そもそも、「二足で立つ」という行為が、とても難しい事だからです。

例えば、人型ロボットを立たせる事が難しいのは、イメージしやすいと思います。

 

立つ事は、若干力む事です。

それには、バランスが必要で、無意識に身体の筋肉を沢山使っています。

 

また現代人は、日常生活から姿勢が悪い事が多いです。

特に日本人だと猫背の人が多いです。

姿勢が悪いままで生活をしている中で、正しい姿勢を意識すると、「しんどい・疲れる」と感じます。

 

普段から背筋が伸びている人は、自然と背筋を使っています。

長年悪い姿勢でいると、緊張しているのがごく当たり前に感じられます。

人間の「脳」自体も、悪い姿勢に慣れてしまうと、「これが普通だ。」と錯覚してしまいます。

身体の機能を混乱させてきているので、元に戻すのに少し時間がかかるのは仕方がないです。

日常生活から気をつけてみよう

いきなり姿勢が良くなる事はありません。

毎日少しずつ意識してみましょう。

日常生活の中で意識する事で、自然と姿勢に対して敏感になれます。

姿勢が良くて悪い事はないので、これから意識して、矯正していきましょう。

誰かに「横からの立ち姿」を撮影してもらう

まずは、現状を確認する必要があります。

自分を客観的に見たいので、誰かに「横からの立ち姿」を撮影してもらいましょう。

撮影してみて、初めて自分の現状に気付く事ができます。

全身鏡を使って、空いた時間で自分チェック

全身鏡を使って、自分を横から見る習慣をつけると良いです。

横から見てみると、背骨の状態が分かりやすいです。

 

全身が映らなくても、上半身が映るだけでもいいです

私はトイレに立った時に、洗面台の鏡で、自分を横から見たりする事が多いです。

「今、猫背になっていないかな?」とチェックしてみましょう。

まとめ

歌の基礎練習は、良い姿勢の状態で行う事に意味があります。

内臓が元の位置に戻ろうとするので、横隔膜が無理なく動きます。

体が楽になり、呼吸が深くなります。

自分の体のどこがか、呼吸の邪魔をしていない事が理想です。

最初は難しく感じますが、少しずつ姿勢を意識して、正していきましょう。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

ふわはるな

Twitter→@fuwa_haru