マイクについて、間違った持ち方をしていないでしょうか?
一度ふりかえって、確認してみましょう。
もしくは、「好きに持ってはいけないの?」と思うかもしれません。
しかし、「道具」には正しい使い方があります。
間違った使い方をすれば、怪我や、故障の原因になる事があるからです。
マイクの場合も同じです。
それだけでなく、マイクは正しく使うと、今までより歌が良くなる可能性があります。
この記事では、正しいマイクの使い方について、書いていきますね。
もくじ
ボーカルが使うのは「ダイナミック型」
通常、ボーカルが使うのは、「ダイナミック型」マイクです。
その中でも更に、「ムービング・コイル型」という分類を、みんな使っています。
カラオケ店にあるのも、このタイプです。
実は更に、「リボン型」や「その他」の分類もあります。
しかし、ライブやカラオケで使う事は、まずありません。
「ダイナミック・マイク」の中の、「ムービング・コイル型」を使ってるんだなと、なんとなく知っていると良いです。
では、特徴について触れていきましょう。
「ダイナミック・ムービング・コイル型」の特徴
この型は、とてもシンプルな構造をしています。
・振動板
・コイル
・永久磁石
大きく、この3つで構成されています。
振動板で空気の振動をキャッチしたら、コイルが動き、電気信号に変換されます。
このように、構造自体はシンプルです。
「単一指向性」である
マイクには、「指向性」(音を拾う向き)があります。
「ダイナミック型」は、「一方方向」からの音だけを拾う、「単一指向性」です。
マイクには、「全指向性」という、全方向から音を拾うタイプもあります。
しかし、全方向からの音を拾うので、こちらはライブで使うには不向きです。
「単一指向性」のマイクは、正面からの音のみをよく拾います。
ステージ上は、騒音・雑音だらけの環境です。
必然的に、「ダイナミック型」を使う事が多くなります。
耐久性に優れている
前述したように、構造がとてもシンプルなので、耐久性に優れています。
大音量の入力や、温度・湿度の変化に強いです。
振動はもちろん、落としたり、ぶつけたりするダメージにも強いです。
ハウリングしにくい
単一指向性は、ハウリングしにくいです。
ハウリングは、「キーン」という不快な音が出る、音響トラブルの事です。
英語で「遠吠え」という意味です。
これは、スピーカーから出た音を、またマイクが拾うループが原因です。
単一指向性は、音を拾う方向が限られます。
その為、余計な音を拾いにくく、ハウリングしにくいです。
ボーカルと相性がいい
中音域が充実しています。
ボーカルとの組み合わせも、とても良いです。
マイクの部分名称
マイクの頭(ヘッド)の、丸い網を、グリルといいます。
または、「マイク・ヘッド」と呼んだりもします。
そして、マイクを握る部分(ボディ)は、グリップといいます。
グリップは英語で、「握る」という意味です。
マイクを持つ時の、NG行動
マイクは、間違った持ち方をする方が多くいます。
実は、マイクの「構造上」、やってはいけない行為があります。
大事な機材なので、正しい持ち方を知っていた方が良いです。
では、マイクを持つ時のNG行動について、解説します。
グリル(マイク・ヘッド)に触れた持ち方
マイクのグリル部分は、手で触れてはいけません。
音がこもったり、ハウリングの原因になります。
「単一指向性」の特性を作っているのは、グリルの下半分の部分です。
実はマイクは、「グリル部分まで含めた全体」で、音を拾っています。
そして、グリルの後方で鳴った音は、電気出力されない仕組みになっています。
振動板の後ろ側にも、音の通り道として、穴や溝が設けられているのです。
これは、後方からの音を「打ち消す」為に存在します。
これによって、前方の音をメインに収音できます。
(仕組みが気になる人は、「オーディオ・テクニカ(音楽機器メーカー)」さんのサイトを見てみると良いでしょう。笑)
この構造上、後ろ側の穴や溝を塞がれると、音の「打ち消し」ができません。
全ての方向から、音を拾う特性に変化してしまいます。これは、ハウリングの原因になります。
もちろん、アーティストが、グリル持ちをしている事はあります。
それについては、特殊な加工のマイクを使っていたり、音響スタッフが裏で調整していたりします。
グリル部分に触れるのは、基本的に悪影響が出ます。
持つ位置が下すぎる
持つ位置が下すぎても、トラブルを起こす可能性があります。
まず、カラオケ店では、ケーブル(線)のない「ワイヤレスマイク」が使われています。
下部には、声の信号をスピーカーに送る部分があります。
ここに指が触れていたりすると、その信号の妨げになってしまう事があります。
また、ライブでは、ケーブルとマイクが繋がっている事がほとんどです。
その為、下の方を持つと、接触不良で雑音が入る可能性があります。
持つ位置が下すぎると、重さで手が疲れますし、不安定という点もあげられます。
下の方は、持たないようにしましょう。
下から口に向けた持ち方
司会者の方が、このような持ち方をするのを、見た事があるでしょう。
見た目は良いですが、「単一指向性」の特性上、よろしくありません。
マイクは、「マイク・ヘッド」の中心・直線上が、一番音を拾うようにできています。
いくら大きな声で歌っても、この直線上を外れると、あまり収音が出来ません。
その為、「声が遠い」・「声量が小さい」という事が起こります。
下から口に向けないようにしましょう。
マイクの正しい持ち方
では、基本的な持ち方について、書いていきますね。
マイクの正しい持ち方は、グリップ(ボディ)の真ん中あたりを持つ事です。
グリル部分の収音や、下部のケーブルの接触にも影響しない、適切な持ち方です。
次は正しく持つ上での、ポイントについて触れていきましょう。
口に向けて、真っ直ぐに持つ
ポイントとしては、口の正面に、マイクが来るように持ちます。
単一指向性のマイクなので、直線上が一番収音される為です。
口に向けて真っ直ぐに持てば、音をクリアに、綺麗に拾ってくれます。
「親指と小指」でマイクを支えると、合理的
親指だけで支えるのもいいですが、もっと安定させるには、小指も使いましょう。
マイクって、結構重いんですよね。だいたい、「300g」位です。
(※例えるなら、9㎝のリンゴ1個分です。)
その為、親指だけで支えるより、小指の補助もあった方が安定します。
親指への負担を軽減し、バランスの良い、合理的な持ち方です。
近接効果(きんせつこうか)
マイクは音源に近いほど、「低音域周波数」を強調します。
すると、音が太く聞こえます。これを、「近接効果」といいます。
逆にマイクから離れるほど、「低音域周波数」がなくなり、細く聞こえるようになります。
つまり、近いほど「太く・大きく」、遠いほど「細く・小さく」なります。
これを、逆手にとって使う事が可能です。
近づけて、細い声を太く聞かせたり、離して高音の抜けを強調したりできます。
ロングトーンで徐々に離し、自然な減退を表現する事もできます。
実際の曲の中で、色々と試してみましょう。
マイク使用の注意点
マイクは持ち方以外にも、やってはいけない事があります。
使用の際の、注意点をあげていきます。
マイクを吹く、叩く
音が出るか確認しようと、マイクを叩いたり、吹いたりする人がいます。
しかし、非常に強い入力信号が出るので、スピーカーを壊しかねません。
電源がついたか、確認したい時は「ハ、ハ」「ヘイ、ヘイ」と低音で短く声を出してみましょう、
マイクをスピーカーに向けたり、近づけたりしない
マイクをスピーカーに向けたり、近づけたりしてはいけません。
スピーカーの音を拾いやすくなる為、ハウリングの原因になります。
ハウリングは、スピーカーから出た音を、またマイクが拾うループが原因です。
元々、マイクから入力された音は、増幅され出力されています。
それが、マイク→スピーカーと、道順をループするとどうなるでしょうか?
結果的にスピーカーからの出力が大きすぎて、あの「キーン」と不快な音になるのです。
スピーカーに近づけないよう、注意しましょう。
口に付けない
口に直接、マイクはつけないようにしましょう。
不衛生で、マイクが汚れます。客観的にも、不快感を抱かれます。
距離としては、指2・3本の、「約5㎝」位がいいです。
ただし、個人の声量にもよります。
「約3㎝」と書いてある本もありますし、個人差があります。
自分に、丁度良い距離を模索しましょう。
ケーブルはいきなり抜かない
ケーブルは、いきなり抜いてはいけません。
瞬間的に大きな音がして、びっくりするだけでなく、故障の原因になります。
音量が0になってからか、電源をオフにしてから抜きましょう。
ステージでは、音響スタッフに「抜いてもいいですか?」と確認をして、OKが出たら抜くようにしましょう。
まとめ
以上、正しいマイクの持ち方について、解説してきました。
・グリル部分には触れてはいけません。単一指向性の特性を保つ為です。
・ブリップ部分(ボディ)を持って、真っ直ぐ口に向けましょう。
・口からの距離は、およそ5㎝(指2・3本)です。ただし、個人差があります。
・スピーカーに向けないようにしましょう。
正しい使い方を知っていれば、近接効果を使って、コントロールする事もできるでしょう。
あなたの歌がより良くなったら、幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ふわはるな