声帯が、何によって動いているか、知っている人は少ないです。
大まかに知っているだけで、声帯のイメージがしやすくなります。
そして、効率的な発声練習をする、ヒントが見つかります。
この記事では、声帯を動かす筋肉について、紹介していきます。
もくじ
声帯
声帯は、2枚のヒダです。
何もしなければ、三角形に開いています。
発声時には閉じて、それが振動し、声になります。
「のど」にある「喉頭」(こうとう)
のどの下の方では、気管と食道が、交叉しています。
気管の入り口の方を、「喉頭」と呼びます。
筋肉と軟骨の集合体で、「のど仏」の高さに声帯があり、声が作られます。
気管の入り口の方が、「喉頭」と覚えましょう。
「喉頭」にある「喉頭軟骨」
喉頭には、「喉頭軟骨」があります。
「のど仏」がある、コリっとした付近です。
カプセルのように、声帯を覆(おお)っています。
英語だと、「voice box」(ヴォイス・ボックス)と呼びます。
3つの軟骨に分かれ、声帯を動かします。
3つの軟骨
3つの軟骨は、以下の通りです。
①喉の前にある「甲状軟骨」(こうじょうなんこつ)
②甲状軟骨の下にある「輪状軟骨」(りんじょうなんこつ)
③喉の後ろにある「披裂軟骨」(ひれつなんこつ)
上から見た図にすると、こんな感じです。
1つずつ説明しますね。
①喉の前にある「甲状軟骨」(こうじょうなんこつ)
喉頭で最大の軟骨です。
いわゆる「のど仏」は、この部分です。
「喉頭」の組織の、ほとんどを支えています。
②甲状軟骨の下にある「輪状軟骨」(りんじょうなんこつ)
輪の形をした軟骨で、①の甲状軟骨の下にあります。
「声帯」の、ほとんどを支えています。
③喉の後ろにある「披裂軟骨」(ひれつなんこつ)
②の輪状軟骨の、後部に繋がる「2つの軟骨」で、声帯を支えています。
これは小さく、素早く位置を変えられます。
声帯を閉じたり、開いたりする時に動いています。
また、声帯を閉じる運動を、「内転」と呼びます。
逆に、声帯を開く運動を、「外転」と呼びます。
喉の筋肉=喉頭筋(こうとうきん)
喉頭にある多数の筋肉を、まとめて喉頭筋と呼びます。
内側にあるのが、「内喉頭筋」(ないこうとうきん)です。
これは、「直接的」に声帯を動かします。
外側にあるのが、「外喉頭筋」(がいこうとうきん)です。
これは、「内喉頭筋」を支え、「間接的」に声帯を動かします。
内側にある、「内喉頭筋」
声帯を直で動かすのは、「内喉頭筋」です。
筋肉群を大きく分けると、以下の5つがあります。
①「甲状披裂筋」(こうじょうひれつきん)
声帯の、筋肉そのもの。声帯を厚くしたり、薄くしたりする。
内側と外側で、2つ筋肉がある。
内側を「内筋」(ないきん)や、「声帯筋」と言ったりする。
外側を「外筋」(がいきん)と言ったりする。
②前筋(ぜんきん)
別名:「輪状甲状筋」(りんじょうこうじょうきん)
声帯を前後にひっぱる。
主に「声の高さ」の調整。高音の発声に欠かせない。
③側筋
別名:「外側輪状披裂筋」(がいそくりんじょうひれつきん)
声帯を閉じる。
④横筋・斜筋
別名:「横披裂筋・斜披裂筋」(おうひれつきん・しゃひれつきん)
それぞれ、別々の筋肉。
作用は同じで、声帯の後端(こうたん)を閉じる。
⑤後筋(こうきん)
別名:「後輪状披裂筋」(こうりんじょうひれつきん)
声帯を「開く」動きをする、唯一の筋肉。
この中で、①と②だけでも、覚えていて損はないです。
①「甲状披裂筋」は、声帯の筋肉ですし、②「前筋」は高音に欠かせません。
このように、内喉頭筋によって、声帯は動いています。
外側にある、「外喉頭筋」
「内喉頭筋」を動かすのは、「外喉頭筋」です。
喉頭を引き上げたり、引き下げたり、声帯の動きに作用します。
また、種類が多い為、ポイントになる筋肉だけ「5つ」紹介します。
その中に、「引き上げる筋肉」が3つ、「引き下げる筋肉」が2つあります。
◆喉頭を引き上げる筋肉◆
①甲状舌骨筋(こうじょうぜっこつきん)
舌骨(舌を支える骨)と、喉頭の間にある
②口蓋喉頭筋(こうがいこうとうきん)
喉頭と、軟口蓋=口の天井の柔らかい部分、を結ぶ
③茎状咽頭筋(けいじょういんとうきん)
喉頭から耳の後ろに伸びる
◆喉頭を引き下げる筋肉◆
④輪状咽頭筋(りんじょういんとうきん)
輪状軟骨と、脊柱(せきちゅう)=(背骨そのもの)、を結ぶ
⑤胸骨甲状筋(きょうこつこうじょうきん)
首の前にあり、喉頭を前下方に引き下げる
このように、喉頭を外側から支えているのが、外喉頭筋です。
難しい名前を覚える時は
難しい名前が多くて、嫌になりますよね。
ただ、筋肉の医学名については、「決まり」があります。
くっ付いている、構造物の名前に由来します。
例えば、「甲状披裂筋」をあげてみます。
それは、「甲状軟骨」と、「披裂軟骨」の間を走っています。
そんな風に、くっ付いている場所が分かると、覚えやすくなります。
まとめ
ここまで、喉頭の筋肉について、解説してきました。
・気管の入り口部分が、「喉頭」
・「喉頭」には、「喉頭軟骨」がある
・「喉頭軟骨」は「3つ」に分かれる
・喉の中には、「内喉頭筋」と、「外喉頭筋」がある
・名前には「規則性」があるので、付いている場所に注目してみる
喉頭筋を知っていると、発声のイメージがしやすくなります。
それによって、より効率的な、発声練習に繋げやすくなります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ふわはるな