歌を練習していると、「声は出てるんだけど、なんか味がないなぁ。」と悩む事はあると思います。
良い歌を歌えるようになる為に、一番重要なのは「レコード・コピー」(完コピ)をする事です。
「レコード・コピー」とは、音楽の業界用語です。
歌入りの原曲と、全く同じ歌い方をする事を言います。
これを徹底的にやる事を、「完全コピー」と言います。略して「完コピ」です。
ミュージシャンなら誰でも、本人に自覚のあるなしに関わらず、この完コピはやった事があります。
「遊びで真似していたら、実はそれが完コピだった。」なんて人もよくいます。
歌や楽器が上手い人は、完コピをする事で、技術や表現力を吸収しています。
技術がつけば、メキメキと歌が上達していきます。
今回は「レコード・コピー」(完コピ)のコツ・方法について、書いていきます。
もくじ
真似はいけないのか?
完コピは、楽曲をいかに理解して、いかに歌うかを勉強するのに最適です。
よく、完コピするとなった場合、「もの真似になってしまって、オリジナリティーがなくなるのでは?」と心配される人がいます。
しかし、歌い方を聴き分けられないのに、歌い分ける事は難しいです。
完コピをする事には、「目的」があります。
原曲から、技術や表現方法を学び、自分の物にしていく事が目的です。
沢山の情報をインプットして、自分の中で反芻(はんすう)させます。
良い意味で盗んで、自分の一部にしていくのです。
そもそも、「学ぶ」の語源は、「真似る」からきているそうです。
「学ぶ事」は「真似る事」なんですね。
音楽に限らず、すべての芸術は伝承的な部分を持っています。
歌だけ誰の真似もしないで、オリジナルな物を作れと言われても、作れる訳がありません。
また、どんなミュージシャンにも、影響を受けた音楽を「完コピした話」が必ず出てきます。
あなたが尊敬するアーティストも、最初は真似から始まって、上手くなっていったのです。
徹底的にコピーして、その楽曲の素晴らしさを研究してみましょう!
「レコード・コピー」のコツと方法
まず、前提として、「大好きな曲」を選ぶ事をお勧めします。
大好きとまではいかなくても、「好きな曲」を選ぶ事が大事です。
なぜなら、これから沢山聴きまくる事になる曲だからです。笑
少しでも、練習に対するモチベーションを上げる為に、好きな曲を選ぶ事が挫折しないポイントです。
ただし、難易度が高すぎない事も大事です。
どんなに好きな曲でも、最初から難しい曲を選ぶと、挫折をしやすいです。
例えるなら、そもそも筋力がない状態で、100キロのバーベルを持ち上げる事ができるでしょうか。
怪我をしてしまいますよね。
まずは、コンプリートしやすい曲を選んでみましょう。
では、その方法について、順番に述べていきますね。
曲全体の把握
まず、曲全体を何度も聞きます。全体のイメージをよく掴みましょう。
楽曲は、ボーカルだけが独立している訳ではありません。他の楽器と関係しあって存在しています。
ボーカル以外にも、他の楽器がどんな動きをしているかも聴いてみましょう。
どういった所が気持ち良いのか、楽曲の全体を聴いて感じましょう。
詩の意味を考える
歌詞の意味を考えてみましょう。
歌のある曲は、歌詞の内容を考えないで歌ってしまっては、聴く側を感動させる事ができません。
意味を考えるといっても、言葉遊び的に意味を持たせていない事もあります。
具体的に内容を書いている事もあれば、抽象的なイメージの世界観の歌詞もあります。
それらも全部をひっくるめて、原曲のボーカリストがどう捉えて歌っているのか、自分なりに考えて解釈していきます。
ブレスの位置と、種類を確認する
曲の全体を把握できたら、次はブレスの位置を確かめます。
歌は「呼吸の芸術」と呼ばれる事があります。
息の吸い方、タイミングが曲のリズムや、ニュアンスに影響します。
その為、ブレスの位置を確認する事は、完コピするに当たって大事なポイントです。
では必要な物を、2つ用意します。
1:歌詞カード、または楽譜
2:シャーペン
歌詞カードは、行間にスペースがある物を用意すると、次の作業がし易いです。
また、ペンは間違えて書き込んでも、消せる物なら何を使ってもいいです。
フリクションペン(消せるペン)とかでOKです。
次に、原曲の「ボーカリストの息遣い」のみを、耳で聴いて拾っていきます。
そして、ブレスが聴こえた場所に、「ブレス記号」を書き込んでいきます。
ブレスの場所を示して使われる記号は、「V」が一般的によく使われます。
この「ブレス記号」を使って、歌詞カードにブレスの位置を、どんどん書き込んでいきましょう。
「V」を書き込んでみると、こんな感じになります。↓(原曲:鬼束ちひろ/「私とワルツを」)
ボーカリストの呼吸音は、最初はなかなか聴きづらいと思います。
ヘッドフォンで聴いたりする事で、小さなブレス音にも気付けるようになります。
ブレスにも種類があって、「ゆっくり」したブレスや、一瞬で吸う「短い」ブレスがあります。
ただし、この2種類だけ。という事でもなくて、
実際に聴いてみると、もっと種類がある事に気付きます。
実際に色んなテイクを聴いて、体得していきましょう。
ブレス音も、歌唱表現の一部と考えて確認してみましょう。
ボーカル入りの原曲に合わせて、「5回」一緒に歌う
曲全体をだいたい把握できた所で、実際に歌っていきます。
まずは、ボーカル入りの原曲と一緒に「5回」歌ってみます。
音量は原曲の方が大きめにします。自分の歌と、原曲の歌が、同じ大きさぐらいだと良いでしょう。
最初からカラオケで歌う人がいますが、それを行うにはまだ早いです。
カラオケで歌うのは、「目的地」として、「歌いたいイメージ」が定まってきた頃にしましょう。
方向性が分からないうちにカラオケで歌うよりも、イメージが定まってから歌う方が上達が早いです。
最初に原曲と一緒に歌うのは、例えるなら「足が速い人」と、一緒に走るイメージです。
足が速い人について走った方が、自分も足が速くなります。
最初は原曲と一緒に歌って、練習をしましょう。
「原曲と一緒に歌った曲」の、最後の「1回」を録音して聴く
5回目に歌った曲が一番慣れてきているので、その1回を録音して聴きましょう。
ボーカリストは、自分自身が楽器として振動しているので、自分の演奏を客観的に聴く事ができません。
その為、「録音して聴く事」はとても重要です。
昔の声楽家の人も、山に向かって歌って、「やまびこ」で自分の歌を確認したそうですよ。
録音する物は、わざわざ専用の機材を買う必要は無く、スマートフォンで十分綺麗にとれます。
録音を聴いてみると、最初は「原曲の歌」と、「自分の歌」が2つに分かれて聞こえるはずです。
また、原曲のボーカリストと違って、「ここが変だな。。」と感じる所を発見します。
その場所を意識して、また原曲と一緒に歌ってみます。
この、「原曲と5回一緒に歌う」→最後の「1回」を録音して聴く。という方法を繰り返していきます。
すると、だんだん原曲の歌と、自分の歌が一本に聴こえてきます。
こうなってくれば、音程やリズムが、原曲と合ってきているという事です。
最後に「カラオケ」に合わせて、一人で録音する
ある程度、レコード・コピーができてきた所で、やっと「カラオケ」で歌ってみます。
そして、カラオケで歌った物も、録音して聴きましょう。
レコード・コピーを繰り返していくと、歌の特徴を捉えるのが上手になります。
カラオケで録音した歌を聴いてみると、自分が上手くなっている事を、実感できるはずです。
まとめ
以上、「レコード・コピー」(完コピ)のコツ・方法について書いてきました。
歌う前に、曲全体を聴いてイメージを掴みましょう。
歌詞の意味を自分なりに考え、ブレスも楽曲の一部として確認していきましょう。
原曲と一緒に歌ったら、それを録音をして、ボーカルの部分を聴き比べる事が大事です。
最初は、少し面倒に感じると思いますが、完コピをすると歌い方がイメージしやすくなります。
結果的に技術力が上がって、短期間で歌が上達する事ができます。
ぜひ、歌の練習に取り入れてみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ふわはるな
Twitter→@fuwa_haru