声帯の原理と構造・声の出る仕組み(メカニズム)・歌と発声

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歌う上で、「声帯の構造って、知る意味ある?。。」と思った事はありませんか?

そもそも、「知らなくても、声が出ればいいでしょ?。。」とも思うはずです。

 

ただ、どういった仕組みで歌えているか、知っていた方が効率が良いです。

力任せに歌うだけでは、のどを壊してしまうかもしれません。

なぜなら、構造上の限界がある為です。

 

他の楽器の演奏家は、パーツの存在意義を理解しているのです。

歌い手にとっても、同じ事が言えるのではないでしょうか。「体は楽器」です。

 

今回は、声が出るまでのメカニズムや、声帯の仕組みについて書いていきますね。

声が出るまで

声は音です。そして、音は空気の振動です。

声が出るまでのプロセスは、簡単にまとめると、下記のようになります。

 

1・脳から「声を出す」という指令が出ます。

2・息を吸う為の筋肉群が動きます。肺は自力では動けない為、周囲の筋肉に引っ張ってもらって、息が入ってきます。

3・息を吐くと同時に、声帯が閉じます。

4・空気抵抗で、声帯が振動し、「声帯原音」という小さな音が鳴ります。

5・声帯で生まれた音が、「のど・口・鼻」の空間で「共鳴」し、声が作られます。

※共鳴=「空洞・空間」を利用して、音を「拡大・増幅」させる事。

 

次に「のど」の構造について、書いていきます。

「のど」の構造

のどには、二つの通り道があります。

 

「食道」へ繋がる、「食べ物の通り道」を、「咽頭(いんとう)」と呼びます。

「気管」へ繋がる、「空気の通り道」を、「喉頭(こうとう)」と呼びます。

 

まず、横から見た図で見てみましょう。

・咽頭(いんとう)は、「鼻腔・口腔」(びくう・こうくう)から続く部分で、「食道」に繋がります。

・喉頭(こうとう)は、喉頭蓋(こうとうがい)から「気管」までの間の部分です。

※喉頭蓋(こうとうがい)=食べ物を飲み込む時に、後方に倒れて、気管の入り口を蓋(ふた)します。

 

「咽頭」も「喉頭」も、歌の本を読んでいると、よく出てくる単語です。

慣れるまで、漢字の読み方が分からなくて、嫌になります。笑

(毎回、どっちがどっちか、分からなくなる自分がいました。笑)

 

「咽(いん)」と、「喉(こう)」がある。という程度に、覚えておくと良いでしょう。

声帯は「喉頭」(こうとう)の中にある

「声帯」は、鏡で見る事ができない場所にあります。

 

舌の奥には、前述した喉頭蓋(こうとうがい)があり、気管の蓋をしてくれます。

声帯は、その喉頭蓋より、さらに下の部分にあります。

 

首の外から見ると、「のどぼとけ」の位置にあります。

顎のすぐ下の部分にある、堅い固まりが、「のどぼとけ」と呼ばれる場所です。

英語では、「Adam’s apple」(アダムのリンゴ)だそうです。

男性は突出しているので、外から見ても分かりやすいです。(逆に女性は、外からは目立たず、分かりにくいです。)

 

「のどぼとけ」の周り全体は、さらに大きな、軟骨の固まりとなっています。

これを、「喉頭軟骨」(こうとうなんこつ)と呼びます。

これは、「甲状軟骨」(こうじょうなんこつ)と、「輪状軟骨」(りんじょうなんこつ)という2つの軟骨でできています。

英語では、この軟骨の固まりの部分を、「ヴォイス・ボックス」といいます。(そのままや。。)

声帯について

声帯は喉頭の中を、前から後ろに張られています。2本の割り箸のように、左右一体で存在します。

長さは2センチほどで、色は白い象牙色です。また、ゴム紐のように、伸び縮みをします。

 

日本人(成人)の声帯の長さは、男性で17〜20ミリ。女性で12.5〜17ミリというデータがあります。

体重とは無関係ですが、身長に比例して長くなると言えます。

 

呼吸時は、三角状に開いています。発声しようとして、息が流れると閉じます。

また、声帯の周辺には、その動きを調整する為の、色々な筋肉があります。

それによって開閉したり、複雑な動きをします。

 

発声時に閉じる事で、空気の流れをせき止め、連続した息を通す事で振動が生まれます。

それによって、声の元となる音が生まれます。

声帯の構造

声帯はざっくり分けると、

表面のよく動く部分(カバー)と、中心のがっちり支える部分(ボディ)から成り立ちます。

まず、声帯の表面には、「薄い粘膜」があります。

※「粘膜」=柔らかくて、粘液で湿った膜(まく)状の組織。

この粘膜部分が、「カバー」になります。

 

次の中間層に、「靭帯」があります。

※「靭帯」=伸縮性のある繊維組織。

そして、一番深い所に、「筋肉層」があります。

靭帯と筋肉の部分が、「ボディ」です。

 

表面の粘膜は、非常に柔らかいです。

声帯が振動するというのは、実はこの部分が振動して音を作り出しています。

 

大事な事は、ただ声帯の全体が、ふにゃふにゃと動くだけではダメだという事です。

筋肉に神経からの指令が通じて、力が入っていないと、綺麗に波が起きません。

筋肉と靭帯が芯として、しっかりとした構造を作っています。

声帯の振動

声帯は近づけて、空気を送り込むと、自然に振動するようになっています。

声帯を近づけるまでは、筋肉が神経からの指令によって行われます。

 

その上で声帯は、「自然に波が起こる」だけです。

決して、無理に押し付けて出すものではありません。

 

シャワーを浴びていると、シャワーカーテンが気流になびいて、体にくっつく原理を「ベルヌーイ効果」といいます。

これが声帯にも、同じ事が起きています。

声帯は、呼気によって自然に左右が合わさるようになっています。

 

無理な発声をすると、摩擦が起き、粘膜は熱を持って腫れます。

声帯は風船のようになり、空気抵抗がなくなるので、声は息漏れと、きしみを起こします。

 

粘膜が柔らかく、少しの空気で振動するのが理想です。

まとめ

ここまで、声帯の仕組みについて書いてきました

声帯は、外から見ると、「のどぼとけ」の位置にあります。

2本の割り箸のように、左右一体で存在します。ゴム紐のように、伸び縮みします。

粘膜が振動する事で、音を作り出します。無理な発声をすると、粘膜が傷つきます。

構造を知る事は、負担をかけずに歌う為に大切です。
のどを壊さないように、コントロールしていきましょう!

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

 

ふわはるな