「支え」という言葉は感覚的で、「よく分からない!」という経験はありませんか?
支えが分かるようになれば、喉を痛めにくくなります。
それだけでなく、歌の上達に近づく事ができるでしょう。
ここでは、支えについて解説していきます。
もくじ
支えとは何か
歌っている時、息がすぐなくならないようにする技術です。
それを、「吐く息を支える」といった表現をします。
膨らんだ「風船」をイメージしましょう。それが「肺」だとします。
風船の口を開くと、どうなるでしょう?
大量の空気が、一気に出て行きますね。
肺も同じで、すぐ元の大きさに戻ろうとします。
「吐く息」は意識をしないと、すぐに終わります。これは、自然な事です。
しかし、歌う時に一気にしぼんでしまうと、声が続きません。
それを、ゆっくり元に戻るようにすれば、「支えのある息」になります。
これは、「吐く息をコントロールする」とも言います。
何を使ってコントロールするかというと、「横隔膜」です。
横隔膜は、肺とお腹の間に、仕切りのように存在しています。
上の図の、オレンジ色の部分です。
横隔膜によって、吐く息をコントロールする事が、「支え」です。
支えと横隔膜
支えとは息を吐く時、横隔膜が下がっている状態を、なるべく保つ事です。
なるべく下げ続けていないと、息がすぐになくなってしまうからです。
肺の下の横隔膜は、ひっくり返った「おわん」の形をしています。
息を吸う時、横隔膜は下がり、内臓が押し出されお腹が出ます。
横隔膜は下がってくると、平らな状態に近くなります。
吐く時は、横隔膜は上昇し、また「おわん」の形に戻ろうとします。
最終的には「おわん」の形に戻るのですが、すぐに息がなくならない為に、平らである時間が長いと良いです。
支えのメリット
ここでは、支えのメリットについて紹介します。
それは、以下の3つになります。
・喉が閉まらない
・声帯の負担を軽減する
・息が長く続くようになる
それぞれについて、説明していきます。
喉が閉まらない
支えられるようになると、喉が閉まりにくくなります。
喉に「無駄な力が入る事」を、「喉が閉まる」と表現します。
または、「喉仏が上がる事」を言います。
実は、横隔膜が上に上がる時、喉仏も上がりやすくなります。
すると、喉周辺の筋肉が力みます。
試しに、お腹を思い切り凹ませてみましょう。喉が力む感じがするはずです。
高音を出す時に、絞り出すように、苦しそうに歌う人を見た事はありませんか?
それは、喉が締まってきている状態です。聞いている側も、苦しくなってしまいます。
意識して横隔膜を支える事で、喉が閉まりにくくなります。
声帯の負担を軽減する
声帯にかかる、負担を軽減します。
支えは、横隔膜を使って、吐く息のスピードをコントロールします。
支えがないと、声帯に突風が吹く状態になり、負担がかかります。
そのまま歌い続けると、声帯が腫れて、声が出しづらくなります。
間違った歌い方で、喉を酷使し続けると、年齢を重ねてからトラブルになります。
その為、早い段階で、吐く息をコントロールできるといいです。
息が長く続くようになる
息の無駄な消費をおさえます。
支えは、すぐに息がなくならない為の技術です。
歌っていて、最後まで息がもたない経験があると思います。
吐く息をコントロールできれば、最後まで歌いきれるようになります。
「支える」為に意識する事
ここでは、支える為に意識する事を紹介します。
以下の4つです。
・腹式呼吸
・お腹がしぼまないようにする
・丹田を意識する
・普段から良い姿勢を意識する
ここから1つずつ解説します。
腹式呼吸
支えは、横隔膜を使った「腹式呼吸」(ふくしきこきゅう)が前提です。
なぜなら、横隔膜で声を支えるからです。
腹式呼吸と逆で、胸式(きょうしき)呼吸もありますが、支えには向きません。
胸式呼吸は、胸の周りの筋肉を動かし、呼吸をします。
胸の骨格があるので、吸える量が限られます。また、息がすぐに出て行ってしまいます。
逆に「腹式呼吸」は、横隔膜を下げる事で、呼吸をします。
お腹周りには、骨がありません。その為、さえぎるものがなく、多くの空気を取り込む事ができます。
また、吐く息がすぐ出ていかないよう、横隔膜でコントロールができます。
支える為には、腹式呼吸である事が必要です。
お腹がしぼまないようにする
横隔膜が下がってくると、内臓が押し出され、お腹が膨らみます。
息を吐く時は、お腹周り(お腹・背中・脇腹)が、しぼまないように意識します。
横隔膜が、すぐに上昇しないようにする為です。
横隔膜を支えようとすると、お腹周りが疲れます。
ただ、お腹で支えられていれば、喉に力みが行きにくいです。
お腹が膨らんだ状態を、なるべく保ちましょう。
丹田を意識する
「丹田(たんでん)」を意識しましょう。
おヘソから、5㎝くらい下の場所です。だいたい、指の4〜5本分か、握り拳ひとつ下くらいです。
この部分には、実際に臓器が存在する訳ではありません。
ただ、昔から「気力が集まる場所」とされています。
ここは、力を入れても、他の部分に無駄な力みが発生しません。
歌う事は、力を必要とします。ただし、上半身は力んではいけません。
胸などの、「喉から近い所」でふんばると、力んでしまうからです。
それでは、「どこに力を入れるのか?」となった時、「丹田」を意識します。
シンプルに言えば、「喉より遠い所」でふんばる。といったイメージです。
それでいて、丹田は力を入れても、他の部分が力まないので理想的です。
普段から良い姿勢を意識する
正しい所の筋肉を使えるよう、良い姿勢でいる事は大切です。
姿勢が悪いと、体はバランスを取ろうとします。
その為、無駄な所に力が入ります。
普段できていないのに、本番だけ上手くやる事はできません。
歌は日々の姿勢の積み重ねです。
以下の事を意識しましょう。
・背筋をまっすぐにする
・首が前に出ないようにする
・胸が下がらないようにする
最初は慣れていないと、筋肉が疲れるはずです。
ささいな事かもしれませんが、少しづつ意識していきましょう。
まとめ
ここまで、支えについて解説してきました。
・支えとは、息がすぐなくならない為の技術
・息を吐く時に、横隔膜が下がった状態を保つ事
・メリットとしては、喉への負担が軽減される
・腹式呼吸が大事
・丹田を意識すると、他の部分が力みにくい
・普段から、良い姿勢でいる事
支えが理解できるようになると、歌が上達します。
呼吸に余裕ができて、色んな歌を歌いこなせるようになるでしょう。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
ふわはるな