「呼吸」は生きる為にも、「歌う時」にも、なくてはならない事ですよね。
さて、人が息をしている状態を観察すると、一般的に2つの呼吸法がある事が分かります。
一方は、胸や肩が動いている、「胸式呼吸」。
もう一方は、お腹が動いている、「腹式呼吸」。
「聞いた事がある。でも、具体的にどんな呼吸なんだろう?」
そういった疑問は尽きないですよね。
歌には「腹式呼吸」が推奨されています。
今回は、「胸式呼吸」と、「腹式呼吸」について、説明していきますね。
もくじ
まず第一に、肺は自力で動けない。
肺は自力で動くことができません。
胸部の筋肉や、横隔膜に引っ張られる事により、肺は空気に満たされる事ができます。
「胸郭」が主体となって行われる呼吸が「胸式呼吸」
胸部の外郭(がいかく)、つまり、「胸をとりまく骨格」の事を、
「胸郭」(きょうかく)と呼びます。
(↑私は何回読んでも、読み方が覚えられなかった漢字です。笑)
下の画像は、胸の骨格を、横から見た図です。
ピンクの線で囲った所が、「胸郭」です。
肋骨(ろっこつ)、胸骨、背骨などで、ぐるっと囲まれていますね。
肺などの大切な臓器を、守ってくれています。
肺の周りには肋骨(ろっこつ)があります。
その肋骨には、「骨同士を動かす筋肉」が付いています。
その動きで、肺に空気を送り込む呼吸が、「胸式呼吸」です。
この肋骨に付いている筋肉は、「肋間筋」(ろっかんきん)と呼びます。
肋間筋が動くので、呼吸をした際に、胸や肩が動きます。
胸式呼吸は、交感神経が優位になるので、興奮して、やる気が出ます。
※心身を活発にさせる神経。
ただし「胸式呼吸」は、歌には不向きとされています。
なぜなら、「横隔膜以外の筋肉は、吐く息をコントロールできないから。」と言われています。
もっと説明すると、「吐く息のスピードをコントロールできない。」のです。
何が問題なのかというと、
声帯に呼気圧(息を吐くときにかかる圧力)、をかけ過ぎてしまいます。
これは、声帯に「突風が吹く」というイメージです。
そうなると、声帯に負担がかかり、すぐに声がかれますし、息も長く続きません。
胸式は、「輪ゴム」で例えられる事があります。
まず、輪ゴムを両手で持って、右手でひっぱってみましょう。
この時、右手のひっぱる側の動きが、「吸う力」です。
さて、ひっぱっていた輪ゴムを離すとどうなるでしょう?
輪ゴムは「瞬間的に」縮みます。
この時の、輪ゴムの動きが、「吐く力」です。
瞬間的に、息が無くなってしまうのが分かりますね。
これが、胸式呼吸のイメージです。
「横隔膜」が主体となって行われる呼吸が「腹式呼吸」
「横隔膜」は、上の図の、オレンジ色の部分にある筋肉です。
肺が入っている「胸」と、内臓が入っている「お腹」の間にあります。
「横隔膜」は肺の下に、「おわん」をひっくり返した形で、くっついています。
↓単体だとこんな感じ!う~ん。内臓っぽい。。
※焼肉でいうと、「ハラミ」・「サガリ」の部分です!
呼吸をする際に横隔膜は、脳からの命令を受けて、収縮(しゅうしゅく)します。
※緊張して、縮む。
すると、「ひっくり返ったおわん」の形が、「平ら」に近くなります。
横隔膜が下がってくると、胃などの内臓を下に押しのけます。その為、お腹が動きます。
スペースが空いた分、肺は空気で満たされます。
胸式よりも沢山、吸うことができます。
さらに腹式呼吸は、意識的に「吐く息のスピードをコントロール」できます。
この動きは、「ピストン」に例えられる事が多いです。
・ピストンをひくと空気が入ります。→横隔膜が下に下がる。
・ピストンを押せば空気が出ます。→横隔膜が戻ろうとする力を、お腹まわりの筋肉が支えます。
腹式呼吸で使われる腹筋の力は、息を吐く際に発揮されます。
歌う際に、声帯になるべく負荷をかけない方法なので、長時間歌えるようになります。
また、副交感神経が優位になるので、リラックスできます。
※夜間などの、休む時に活動する神経。
歌には、吐く息をコントロールできる「腹式呼吸」が適しています。
胸式呼吸にも意味がある。
一方で、胸式呼吸にも意味があります。
大量の酸素が必要になる、激しいスポーツをする際は、胸式呼吸の割合が高くなります。
呼吸回数が増えると同時に、肋骨の動きが活発になる為です。
「胸郭」の柔軟性は将来、肩や腕の、運動能力に影響します。
使われない筋肉は、年齢とともに硬くなってしまいます。
たまには腕を回したりして、胸の肋間筋をストレッチしてあげましょう!
まとめ
歌う際には、腹式呼吸を意識していきましょう!
長く息が吐ければ、歌いやすくなりますよ。
一方で、胸式呼吸にも意味があります。
肋間筋がかたくならないよう、胸のストレッチ等も日々、やってあげましょう。
この記事が、誰かのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ふわはるな
Twitter→@fuwa_haru