リップロールの効果・やり方コツ・メリットと意味・練習と歌

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リップロールは、ボイトレでポピュラーな基礎練習です。

また、メリットも多いです。

 

最初は「そーなんだ〜」という程度に、知っておくだけで大丈夫です。

いつか、役立つ日がきます。

この記事では、リップロールについて、その効果やコツを述べていきます。

リップロールとは

「リップロール」は、唇を閉じたまま息を吐き、プルプル震わせながら発声する練習法です。

リップロール(lip roll)は、他にも呼び名があります。

 

・「ふるえる音」を意味する「トリル」(trill)から、「リップトリル」

・「泡立ち」などを意味する「バブル」(bubble)から、「リップバブル」

 

どの呼び名も使われます。

どんな時に使う?

どんな時に使うのでしょうか?

主に、以下の2つがあります。

・ウォーミングアップ

・クールダウン

それぞれ、説明しますね。

ウォーミングアップ

歌う前のウォーミングアップに使います。

血流をよくする働きがあり、声帯の活動を活発にし、呼吸筋のトレーニングになります。

歌の調子が悪い時は、声帯の「合わせ」がよくないか、呼吸筋が動いていない可能性があります。

 

走る前に、足のストレッチをするように、ウォーミングアップに行う人が多いです。

クールダウン

さらに、歌った後の「クールダウン」にも効果的です。

全力で走った後は、軽く走りますよね?

リップロールも同じく、喉や呼吸筋、表情筋のクールダウンになります。

効果・メリット

リップロールの効果や、メリットを紹介します。

以下の13個です。

・一定の息で吐く練習になる

・歌に余裕ができる

・地声と裏声を切替えやすくなる

・声帯の負担を軽減

・「喉締め」の改善

・横隔膜が鍛えられる

・高い声が出やすくなる

・音程が取りやすくなる

・息の吐きすぎ防止

・「ブレスの浅さ」を実感

・広い音域の発声

・声帯を保湿しながらの発声

・表情筋がつく

それぞれ、説明しますね。

一定の息で吐く練習になる

一定の息量や、速度で吐く練習になります。

そもそも、一定の息で吐き続けないと、唇の震えが止まってしまいます。

 

息は多すぎても、少なすぎても上手くいきません。

息の量、スピードが均一で、バランスが取れる事が大切です。

バランスが悪いと、無理に発声しようとして、喉に負担がかかります。

 

リップロールは、「一定の速度」で、「安定した息量」を吐く練習になります。

歌に余裕ができる

息がコントロールできると、歌に余裕ができます。

リズムや、表現にまで、注意が行き届くようになります。

地声と裏声を切替えやすくなる

地声と裏声の、切替がスムーズになります。

高音にいく時に、切替が上手くいかない事がありますよね?

これは、息と声帯のバランスが、不安定になりやすいからです。

 

リップロールは、一定の息で吐きながら、声を出す練習ができます。

その状態で音の上げ下げをすると、スムーズな切替えの感覚が分かりやすいです。

 

また、リップロールは、母音が「う」の音になります。

「う」は口を閉じる分、顎の力が抜けやすく、裏声が出しやすいです。

切替えの練習に、効果的です。

声帯の負担を軽減

リップロールは、声帯の負担を軽減しやすいです。

なぜなら、声帯にかかる呼気圧(息の圧力)が、分散されるからです。

 

例えば、声帯が「第一の弁」とした場合、唇は「第二の弁」です。

これは、声帯だけで受け止める呼気圧を、唇でも受け止めている状態です。

それによって、声帯にかかる圧力が軽減されます。

「喉締め」の改善

喉を締める癖のある人は、リップロールが効果的です。

「息と声のバランス」が良くなれば、喉への負担が軽くなるからです。

喉締めの改善に効果があります

横隔膜が鍛えられる

自然と「横隔膜」を使った、腹式呼吸の練習になります。

リップロールを続ける際に、「長く息を吐こう」と意識するので、だんだん横隔膜が動くようになるからです。

 

ちなみに、日本語って実は、話す時あまり息を使いません。

その為、普段から横隔膜があまり動かず、呼吸が浅い事が多いです。

そのままだと、歌に必要な息の圧力が生み出せず、喉に過度な負担がかかります。

 

横隔膜が鍛えられると、呼吸が深くなり、歌に必要な息の圧力が生まれます。

高い声が出やすくなる

多くの人が高音の時に、喉が締まる悩みを持ちます。

大きな要因の一つに、「肺からの息の圧力に、声帯が負ける」という事があります。

流れとしては、以下の通りです。

①声帯を閉じる能力(喉締めとは別)が、まだ育っていない

②自分の、今のキャパを超えた高音を出そうとする

③息を強く吐く→声帯だけでは支えられない

④喉周りの筋肉(本来使わない筋肉)が助けに入る→喉が締まる

という感じです。

 

例えば、呼気圧が「100」とします。

声帯の力が「70」だと、負けてしまいます。

その為、残り「30」を喉締めで補って、「100」の圧力に耐えようとします。

喉締め「30」は、「無理矢理な力」なので、喉に負担がかかります。

 

リップロールだと、唇を閉じる事で、それが「第二の弁」になります。

呼気圧「100」に対して、声帯の力「70」+残り「30」を唇が受け止めてくれます。

それによって、喉締めを回避でき、高音発声の脱力効果があります。

音程が取りやすくなる

リップロールをすると、音程が取りやすくなります。

声帯の「開閉」を鍛えられるからです。

音程は、声帯の「ヒダ」の動きで作られるので、それを上手にコントロールする必要があります。

 

リップロールは、口の開閉の影響を受けません。

その為、無駄な力が入りにくく、音程を取る事だけに集中しやすいです。

 

また、骨伝導によって耳に届き、自分で判断しやすくなります。

息の吐きすぎ防止

リップロールは、適切な息量になりやすいです。

唇を閉じている為、大きな声が出しにくく、自然な息量になりやすいです。

 

例えば、声が枯れたり、息が続かなかったりしますよね?

原因に、「息の吐きすぎ」があります。

 

声は、「声帯」に、吐く息がぶつかる事で生まれます。

なるべく、「ぶつかる息」を少なくしないと、ダメージを負います。

リップロールは、唇が息を受け止めるので、適切な息量になりやすいです。

「ブレスの浅さ」を実感

「息の浅さ」を実感しやすいです。

リップロールは、吐けてないと続きません。

5秒も続かなかった場合、息が浅いと気付くでしょう。

 

しっかり吐ければ、たくさん息も吸えるようになります。

広い音域の発声

広い音域の発声に繋がります。

リップロールは、一定の息で吐けていないと、上手く続きません。

 

音程を変えても、振動にムラがないように意識します。

それによって、一定の息で、広い音域を発声する練習になります。

声帯を保湿しながらの発声

口を閉じて発声するので、声帯が乾きにくくなります。

声帯が乾くと、そこに負担がかかります。

その点、リップロールは声帯を保湿しつつ発声ができます。

表情筋がつく

リップロールがキープできるようになると、表情筋もつくようになります。

(※表情筋=顔の表情に関する筋肉)

歌う時に、口の形が固定できるといいので、その為に表情筋が必要です。

筋力不足だと、プルプルと小鹿のように震える事がありますよね?

口の形が変わると、響きが変わり、声のトーンに悪い影響があります。

 

表情筋がついてくれば、それを固定する事ができ、不要な所が力みにくくなります。

リップロールのやり方

リップロールのやり方を、5つのステップで紹介します。

これは、以下の通りです。

・口周りをほぐす

・軽く唇を閉じる

・少し唇を尖らせる

・鼻から息を吸う

・息を吐き、唇を震わせる

ここから、1つずつ説明します。

口周りをほぐす

口周りや、ほっぺを手で上下させたり、回したりましょう。

これによって、表情筋がほぐれます。

表情筋を普段使えていないと、こわばっていて、唇も振動しにくいです。

まず、軽いマッサージでほぐします。

軽く唇を閉じる

リラックスして、軽く唇を閉じます。

上下の歯は、軽く離れています。

力が入ってしまうと、唇が震えないので、注意してください。

少し唇を尖らせる

少し唇を、前に突き出します。

母音の「ウ」の形を、少し尖らせた感じです。

鼻から息を吸う

息を鼻から吸います。

口から吸うと、喉が乾きやすいです。

乾燥を防ぐ為に、鼻から吸う方がオススメです。

息を吐き、唇を震わせる

最後に、閉じた唇の間から、ゆっくりと息を吐き出します。

唇を「プルプル」と震わせ、音を出しながら行います。

できるだけ、振動が長続きするよう、一定の息で吐きます。

 

唇の振動が、継続してできれば、正しくリップロールができています。

最低でも10秒、慣れてきたら30秒やってみます。

リップロールのコツ

リップロールのコツを紹介します。

以下の5つです。

・手の補助を使う

・短いリップロールを繰り返す

・上下の歯の間隔を少し離す

・リップを塗る

・「うー」と発声しながら、リップロール

1つずつ説明しますね。

手の補助を使う

上手くいかない時は、手や指で、両方のほっぺを軽く持ち上げます。

その状態で、リップロールをしてみてください。

 

手で持ち上げる事で、口周りに余計な力が入らないので、簡単に唇が震えます。

自転車の補助輪のように、唇の振動を助ける事ができます。

ほっぺを軽く、手で持ち上げてリップロールをしてみてください。

短いリップロールを繰り返す

唇が震える感覚が分からない人は、短いリップロールができる事を目標にしましょう。

息を吐き出す瞬間の、量をアップしてみてくだい。息の勢いで、唇を弾きます。

それを繰り返し行なって、唇が震える感覚を覚えましょう。

上下の歯の間隔を少し離す

口の中が狭いと、唇の振動に影響する事もあります。

歯は食いしばったり、噛み合わせたりすると、力みやすくなります。

上下の歯は、唇を閉じられる範囲で、少し離してみましょう。

リップを塗る

唇が乾燥していると、息が漏れやすく、震えにくいです。

リップクリームを塗ったり、唇を舐めたり、乾燥してない状態でやりましょう。

「うー」と発声しながら、リップロール

実はリップロールは、発声しながらの方がやりやすいです。

声を「うー」と出しながら、練習してみてください。

リップロールから始まるので、文字にすると、「ぷうー」という感じです。

 

最初から、「息だけ」のリップロールを頑張る人がいますが、そっちの方が難しいです。

「うー」と声を出しながら、リップロールをする方が、コツが掴みやすいです。

応用

リップロールができるようになったら、応用してみましょう。

例えば、以下の3つです。

・音階に合わせて基礎練習

・メロディーを、リップロールで歌う

・息の強弱の練習

1つずつ説明しますね。

音階に合わせて基礎練習

ドレミの音階に合わせて、基礎練習に取り入れてみましょう。

歌う前の、ウォーミングアップになります。

 

音階も、色んなパターンで試してみるましょう。

「音程」を鍛えるトレーニングにもなります。

メロディーを、リップロールで歌う

リップロールで、歌いたい曲のメロディーを歌います。

これは、「歌う時の、身体の力加減」をつかむ為です。

 

音が高くて、喉がギュッと閉まってしまう事がありますよね?

そんな時は、リップロールで歌ってみます。

一定の息量で発声できるのと、口の動きが邪魔をしないので、リップロールの方が歌えたりします。

息の強弱の練習

リップロールの音を、だんだん大きくしたり、だんだん小さくしたりしてみましょう。

息の強弱で、歌に抑揚をつける練習です。

 

音楽記号だと、クレッシェンド(だんだん大きく)や、デクレッシェンド(だんだん小さく)をよく目にします。

息を強くしたり、弱くしたり、抑揚をつけてみましょう。

「息だけ」リップロールのメリット

リップロールは「声と同時に」出した方が、やりやすいです。

逆に、「息だけ」リップロールの方が、難しくて疲れます。

 

しかし、難しいという事は、そのぶん練習になるという事です。

また、声を出せない環境でもできるメリットもあります。

声が出せない環境や、呼吸筋を鍛えたい人にはオススメです!

練習は「段階的」に!

リップロールは「順番」に、「焦らず」に練習してみましょう。

以下、5つの段階を踏んで、1つずつやってみてください。

①「唇」を「振動」させる

②「振動」を「継続」させる

③②と同時に、声に出して「プルル」

④音程を変えながら「プルル」

⑤楽曲の音程に合わせて「プルル」

段階を踏んで、基本がしっかりすると、歌が安定します。

短くてOKなので、繰り返しやるだけ

最初から、長く震わせようと頑張る人がいます。

しかし、そんな時に限って、体に力が入るものです。

まだ筋肉の使い方が分かっていないので、最初からできなくて当たり前です。

 

震える時間は短くていいので、繰り返す事が大切です。

震えた感覚を、体で覚えていきましょう。

まとめ

ここまで、リップロールについて説明してきました。

・喉の緊張がほぐれる

・一定の速度で息を吐く練習になる

・地声と裏声を切替えやすくなる

・広い音域の発声に繋がる

・横隔膜が鍛えられる

・喉締めの解消になる

・ほっぺを手で持ち上げると、リップロールしやすい

・短いリップロールを繰り返し、震える感覚を覚える

・焦りは禁物(力むので)

歌に余裕が生まれるようになるので、ぜひ試してみてください。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

ふわはるな